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銀竜草、山蛭、日本蜜蜂(三方倉山) |
標高は1000m前後、行程はは5~6時間、というあたりが、今の私にはベストフィットの山歩きのように思う。 ということである。
三方倉山(971m)は、仙台の奥座敷と呼ばれる秋保温泉のさらに奥、二口地区にある。印象としていえば、大東岳(1366m)の南東の麓の山という感じである。実際には山形神室岳、(仙台)神室岳に連なる東端の山で、大東岳とは名取川本流、大行沢で隔てられている。登山口が大東岳登山口のすぐ近くにあるというだけである。
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遊歩道からすぐに分かれ、標識にしたがって「三方倉山 ブナ平コース」に入る。倒木に群生するニガクリタケを踏み越えて進む。この茸は春にも秋にも発生するようだ。
万緑や霧の峠の山毛欅雫 秋本不死男 [2] |
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道はガスのなかである。ガスが濃くなって体が濡れるようなことにならなければ、「霧に包まれた林」というのはそれなりの風情をかもし出す。霧の林の中で思慮深げに遠くを見る犬は、それなりに賢そうにさえ見えるのである(基本的にはわがままで、家では「アホイオ」となにかのかけ声のように呼ばれている犬なのだが)。
寄生虫といえば、山にはヤマダニがいる。人間には寄生しないが、犬にはよく付くので、イオのための対策は慎重に行っている。ところが、人間には付かないヤマダニに、一度、取りつかれたことがある。近くの大行沢でイワナ釣りをした4日後に、血で肥え肥えと太ったダニが目の下に付いているのを発見したのだ。ずっと気がつかなかったのは、ちょうど眼鏡の下の縁に重なっていたためである。鏡を見る私も、私の顔を直接見ていたであろう家族も気がつかなかったのでだ。 人に付かないはずのダニが寄生したたった一度の経験である。犬なみだったのである。 |
ほんのわずかな出血なのだが、血が止まらないというのは気になるもので、抑え方を変えてみたりしながら歩いていくと、下山に利用する予定の「シロヤシオコース」の分岐標の前に出た。そこからもう2,3分で頂上である。 20分ほどで朝食を終え、下りはじめた。「シロヤシロコース」に入ると、 登山道に白い花が点々と落ちている。文字どおり、シロヤシオの花だ(Photo D 下)。てっきり頭上にはシロヤシオが満開になっているのだと思って見上げると、何にもなくてがっかりする。花が少ない木の、その花が落ちてしまったのだろう。その後はシロヤシオを探しながら歩いたのだが、それっきりであった。 |
頂上から20分ほどのところに、すばらしいオブジェがあった(Photo G)。枯れ木と石が絶妙に組み合わされている。どうすれば、こういう形状が完成するのか、しばし、考えさせられた。人工的な感じがしないでもないが、この石と木の組み込み方を人手でおこなうのは無理だろう。 |
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ガスと万緑が溶け合い、まるで湖かなにかの底へ潜って行くようにジグザグの道を下るのである。(Photo H)。下草の丈が高く、犬の視線を遮っているので、イオは緊張しつつ立ち止まり、じっと底の方の様子を窺っしている。 蜜蜂の巣から15分ほどで杉の植林地に出る。。そこから二口遊歩道まではあっという間である。道端のトリアシショウマの花や、地味なフタリシズカの花を眺めながら、手すりなどの整備された谷沿いの遊歩道を歩いて、山歩きは終わりである。
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