糸(ライン)

いろいろなタイプの糸(ライン)が販売されていますが、それぞれ特徴があり、
用途や、釣りの種類によって、向き不向きもあります。
それぞれの特徴を生かした「糸選び」が、釣果を伸ばす事につながります。



糸の基本

 一般的に使われる糸のほとんどは『号数』で表示される。
 糸の標準直径、要は太さの基準なのだが、困ったことに、統一基準ではなく
 メーカーごとに、独自の基準が設定されている。
 (でも、極端には違わないので、あまり気にしなくとも良い。)
 その他に、ルアー(トローリング含む)用や、フライフィッシング用の糸の基準で
 『Lb(ポンド)』で表示されている物もある。
 これは、糸の太さでは無く、強度によって決められるため、
 メーカーを問わず、同じ基準で作られる。
 ただし、あくまで『強さ』の基準なので、太さは、メーカーや、使われる素材によっても変る。
 (ちなみに、1Lbは、約0.45kg)
 Lb表示が、たとえば、20Lbの糸の場合『20Lb(以下)の力で切れる』と言う意味。
 ただし、これは
 『基準となる一定の長さを一定の力で引っ張り、切れた時点での負荷加重』
 の表示で、実際に使われる場合、必ずその負荷が掛かった時に切れる、というわけではない。


【参考】
糸の強度は、『結束』『長さ』『使用状況』によって変化する。


結束による強度変化・・・
 糸は結ばれると本来の強度(直線引張強力)より、
 40〜90%程度まで落ちる。
 (結びの種類によっては、120%まで上昇する物もある)

長さによる強度変化・・・
 一定の長さでの強度基準なので、それ以上長くなれば、
 それだけ一本の糸にかかる力が分散され、引張強力は上がる。

使用状況による強度変化・・・
 糸は、特に、使用した時点(リールに巻いた時点)から劣化が始まり、
 徐々に強度が落ちてくる。
 素材によって、その度合いは変るのだが、使用すればするほど、
 水及び、その中に含まれる成分、紫外線などによる材質自体の劣化、
 摩擦熱、傷などにより強度は落ちていく。


糸の種類

 ナイロンライン・・・

  正式には、ポリアミドモノフィラメント。
  もっとも多く使われる糸。釣り糸の代名詞。
  非常に扱いやすく、釣りを選ばない糸。
  道糸、ハリス、先糸など、いろいろな用途に使われ、
  種類も多く、長さ、太さ、色、硬さ、伸度、比重など、
  使用目的に合わせ、いろいろと加工されている。


  基本的な特徴として、

   ・比重が水よりも軽い。
   ・空気中での結束、直線引張強力が高い
   ・柔らかく、しなやか(癖がつきにくい)。
   ・水中では、分子間に水が入り込み更にしなやかになる。
   ・反面、水中では、強度が落ちる。
   ・透明度が高い。
   ・他の糸よりも比較的伸び率が高く(25〜35%)、クッション製に優れている。
   ・耐磨耗性がやや低く、傷がはいると、その場所から切れやすい。

 などがあげられる。
 (あくまで、他の糸に比べての話。
 現在のナイロン糸は、加工技術の進歩により、かなり耐久性はあがっています)

 リールへのおさまりがよく、伸縮性があるので、ショックも吸収してくれる、なかなか便利な糸。
 最近では、耐磨耗性に優れた、鞘心構造、コ・フィラメントなどと呼ばれる
 『二重構造』の物もある。
 価格帯も、手ごろな価格からある。


 フロロカーボンライン・・・

  正式には、ポリフッ化ビニリデンモノフィラメント。
  構成元素に炭素が含まれる為にこう呼ばれる。
  けしてカーボン繊維でできているわけではない。
  おもに磯釣りや、サビキ(胴付)仕掛けなどのハリスとして使われているが、
  最近は、道糸用に加工されたものもある。

  基本的な特徴として

   ・比重が水よりもやや重い。
   ・結束、直線引張強力は、ナイロンよりもやや劣る。
   ・糸質は硬く、コシ、張りもある。
   ・吸水性は0に近く、水中での強度低下はほとんどない。
   ・透明度は低いが、光の透過、屈折率が水に近い為、水中では見えにくい。
   ・耐磨耗性が高く、傷がはいりにくい。
   ・構造上、傷がはいっても、ナイロンより切れにくい。
   ・ナイロンほどではないが、適度な伸びがあり(23〜30%)、ショックに強い。

  などがあげられる。

  糸質が硬いため、直線性が求められるハリスには向いているが、
  リールにまくのはあまりオススメできない(一部の道糸用を除く)。
  リールに巻けるタイプのものは、スプールに対してちょっとだけ少なめに巻くと、
  トラブルが少ない。結構、高価な糸でもある。


   PEライン・・・

  正式には、ポリエチレンマルチフィラメント。
  ようは、スーパーなどでよく見る「ポリエチレン」の袋と同じ素材を、
  ほっそ〜〜い、糸状にして、束ね、縒り合わせて作った糸。
  (一部、よくわからない素材のもある)
  非常に強い糸で、現在、船釣りの道糸はほとんどこれといっても過言ではない。
  もともとブレイデットライン自体はあったのだが、ダクロン系の糸がほとんどで、
  これほどの強度はなかった。


  基本的な特徴として、

   ・複数の細い糸を縒り合わせた「ブレイデットライン(より糸)」
   ・直線引張強力は、標準的なナイロンラインの約2.5倍。
   ・吸水性は0に近く、水中での強度低下はほとんどない。
   ・結束強力は、結び方が悪いと、直線引張強力の約40%ほどまで落るので、
    結束する際、使用する際は注意が必要。
   ・伸縮性が少なく、感度が高い。
   ・凄まじく柔らかい為、癖がつきにくい。

  などがあげられる。

  はっきり言って、道糸専用の糸みたいなもので、
  ハリスなど、張り、コシを必要とする部分には使えない。
  値段は高価であるが、最近は、乱売傾向が出ており、購入しやすくなった。
  耐久性もあるので、結果的にはコストパフォーマンスはよくなってしまう。
  でも、めちゃくちゃ強く、耐久性が高い割に、意外と擦れには弱く、突然切れるときもある。
  これがまたびっくりする位あっけなく切れてしまう。
  この糸が発売された頃、あまりの強度と、感度のよさ、伸びのなさから、
  軽い根掛りさえ「アタリ」のように感じてしまうので、ナイロンと同じようにあわせてしまい、
  竿をへし折ったり(かなり「いい音」がする♪)、リールを破壊したりする釣人が多発した。
  ドラグを絞め過ぎないのが良!
  この糸の存在が、海、特に船釣りの幅を広げたのは言うまでもない事実である。


 その他

 フロロナイロン・・・
  比較的新しく発売された糸。フロロカーボンとナイロンのあいのこのように言われているが、
  実際は、ナイロンライン。
  とはいっても、二重構造や、フッ素樹脂加工などにより、引張強力、耐磨耗性は、同直径なら、
  普通のナイロンラインよりも優れている。
  ナイロンラインの使いやすさと、フロロカーボンラインの耐久性を持った糸が欲しい!
  って事で作られったってとこかな?
  要は『フロロカーボンのようなナイロンラインが欲しいから造っちゃった♪』なのである。
  低伸度ナイロンと呼ばれるラインも、この手のラインに多い。

  (低伸度ナイロン)・・・
   その名の通り、伸びの少ないナイロンライン。太さの割に、引張強力が高い物が多い
   (たとえば、「2.5号の太さで3号の強さがある」とかね)。
   簡単に言ってしまえば、
   「20Lbの糸を引っ張ったら、16Lbの太さになっちゃったんだけど、
   意外と強度は落ちなかったから、普通の16Lbよか強いよ♪」
   という、なかなかナイスな糸。
   根掛かって伸びた後の糸が、意外と強いってことない?そんな感じ。
   伸びが少ないため、感度も良好なのだが、
   その分、クッション性が損なわれ、切れるまでの限界は低い。

 ポリエステルライン・・・
  凄く硬く、直線維持力が高い。つーか、形状を維持する力が強い。
  多少癖がついても、引っ張れば真っ直ぐになる。
  主にハリス用、と言うか専用。
  道糸にはこれほど向かない糸もない。

 フロートライン・・・
  「水に浮く」糸。主に磯釣りに使われる。視認性を高める為、派手な色のものが多い。

 フライライン・・・
  フライフィッシング専用の糸。浮くやつとか、沈むのとか、いろいろある。
  糸自体に重量があり、フライ(毛鉤)をオモリで飛ばすのでは無く、
  糸の自重と、フライフィッシング独特の方法で飛ばす。
  これも他に使い道の少ない糸である。

 テーパーライン・・・
  これは糸の種類というより、形状の問題で、
  通常の釣り糸は同じ太さなのだが、これはある一定の太さの糸が、
  だんだんと太く(又は細く)なっていくタイプの物を言う。
  主に、投げ釣り用の糸(力糸)や、フライフィッシングに使うライン、リーダーが、
  こういう構造をしている。ナイロンのものが多い。

 金属ライン・・・
  文字どおり金属製の糸。主に鮎の友釣りの、水中糸として使われる。
  とてつもなく高価なくせに、普通には結べない、こまった糸。
  素材は、タングステン、チタン合金など。金属のくせに、伸びるヤツまである。
  これも、他に使い道の少ない糸である。

 生分解性ライン・・・
  実に自然にやさしい、最新(?)の腐る糸。ひっじょ〜〜〜〜〜〜によわい。

 本テグス・・・
  昔の糸。材質は絹。現在は、質のいい鮎毛鉤のハリスに使われる程度。腐る。
  縁日の『鯉つり』で使われている、「あの」切れやすい糸がこれ。


 結局の所、所詮糸は消耗品なので、こまめにチェックして、強度が落ちてきたら交換、
 巻き替えるのが一番!ってことになります。


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