針(フック)

よく、つりばりには「○○鈎」と書いてあります。
普通この「鈎」と言う漢字は「かぎ」と読みますが、
釣り具では、これで「はり」と読みます。
どうやら、つりばりは、形が
「鈎針(かぎばり)型」
なので、この字を用いるようです。


 <参考>
 昔は、技術的な問題により、針先が甘い(刺さりが悪い)物が多く、
 実際に使用する際、あらかじめ、針先を研ぐ必要があったが、
 現在販売されている鈎のほとんどが、科学研磨など、最新の技術で
 鈎先が鋭利に砥がれているので、使用前に砥ぐ必要はほぼなくなっている。
 (へたに自分で砥ぐと、鈎先があまくなってしまうので注意!)

  鈎の基本

 素材・・・

  現在売られているもののほとんどは「炭素鋼」でできている。
  用途によって、硬さ、粘りなど、性質の違うものを加工して作られる。

 号数・・・

  国内のものは、ほとんどの場合、数字が大きいほど、サイズも大きくなります。
  ただし、鈎の種類によって、大きさの基準が変るので、鈎の名称が違う場合
  同じ号数だからといって、   実際のサイズも同じというわけではない

例)ハリの同号数比較図(チヌ鈎のみ異号数)
同じ号数表示でもこれだけ大きさが変り、チヌ鈎のように、
表示が小さくても、比較すると大きいものがあります。



 各部の名称・・・

  釣り関係の書籍や雑誌をみると、よく、鈎の部分ごとの名称が出てきますが、
  その名前がわからないと 「どこの事を言っているのやら・・・」って、
  感じになってしまいます。
  と、言うことで、各部の名称はこんな感じになります。
  (地域や、メーカーなどによって、呼び名が違う場合があります)

<一般的な釣り鈎>
↓これはケン付丸セイゴ
<ルアーフック>
↓これはオフセットタイプのワームフック

  タタキ・・・
   結んだハリスが、抜けないように、平たくたたいてある所。
   穴が開いている物や、タタキの無い物、リング状になったものもある。

  アイ・・・
   鈎を結ぶ所。
   ルアーの場合、ほとんどのものはリング状になっているので、
   糸は、そこの中に通して結ぶ。

  チモト・・・
   ハリスを結ぶ所

   【参考】
    ★ タタキに穴のあいているものは「穴明」リング状になったものは「管付」と呼ぶ。
    ★ 「管付」の場合は、穴に直接結んでもよいのだが、「穴明」の場合、専用の結び方がある。
    ★ ルアーフックで言う「アイ」は、「タタキ」では無く「チモト」と言うことになる。

  軸・・・
   ルアーフックで言う「シャンク」
   対象魚や、用途によって、長さ、形が変る。

   ちなみに、細い鈎の事を「細軸」、太い鈎の事を「太軸」と言ったりもする。

  ケン・・・
   軸に付けられた、餌のズレを防ぐ為の「引っかかり」。
   一部のルアーフック(ワームフック)にも付いている。

  フトコロ・・・
   ルアーフックで言う「ゲイプ」
   ここの広さ、形によって、鈎の使い方が決まるといっても過言ではない。

  カエシ・・・
   ルアーフックで言う「バーブ」。    かかった魚が、鈎から外れないようにするもの。
   無い物もあり、一般の鈎では、「スレ」、ルアーフックでは「バーブレス」と呼ぶ。

  鈎先・・・
   ルアーフックで言う「ポイント(フックポイントとも言う)」
   文字通り、鈎の先端。使用しているうちに、欠けたり、曲がったりする。
   そうなると、極端に掛かりが悪くなるので、交換。
   実釣時は、こまめにチェックしなければならない。


  海釣り(餌釣り)用の鈎・・・
  一番種類が多く、各魚種専用的なネーミングのものが多い。
  対象魚の幅が広い為、大きさ、太さも様々。
  ほとんどの物が、メッキなどの防食加工をしており、カラーも豊富。

  白(銀)・金・黒・赤のほかに、 >イソメカラー、オキアミカラーなど、
  保護色っぽくカラーリングされたものがある。

  しかし、いくら防食加工しているとしても、一度海で使ったものは、
  大概、次に使うまでに錆びてしまうので、ほぼ使い捨てと考えてよい。
  もちろん淡水で使用してもOK

  とてつもなくでかいのもあり、ショップでたまに見つけると、
  なぜかうれしくなってしまう人は、かなりアヤシイ釣りをしている場合が多い。


  淡水用(餌釣り)の鈎・・・
  これも、専用的なネーミングが多いが、魚種が限られる為、海用ほどではない。
  鯉などの大型魚用の鈎は別にして、細軸のものが多い。

  メッキ加工などを施したものは少なく、してあったとしても、
  薄く塗装してある程度のものがほとんど。
  ちなみに、茶色のものは「茶焼き」、 青のものは「青焼き」と呼ぶ。

  その理由として、使う場所が、基本的に「淡水」であることと、
  意外と、口の硬い魚が多いので、 ハリの掛かり(刺さり)を優先していることがあげられる。
  (塗装、メッキなどは全体にかけられるため、それが厚ければ、
  その分だけ鈎先もあまくなってしまう。
  中には、極うすい塗装すらも嫌って、軽く研ぐ釣人もいる。)

  その割には、思ったよりもさびにくいので、繰り返し使う人もいるが、
  結局、鈎先が甘くなるので、交換したほうが良い。


  ルアー用の鈎・・・
  魚種別に出されているようだが、実際は、使う場所や、付けるルアーごとに分けられている。
  洋物なので、鈎では無く「フック」と呼ぶ。

  もともと、洋物なので、一般的な鈎(日本の鈎)とは、大きさの表示が異なる。
  号数表示の数字が大きいほどサイズが小さく、数字が小さいほど大きい。
  更に大きくなると、「1/0・2/0・3/0・・・・」という表示になる。
  単位は、「○○号」では無く   「#○○」であらわされ、「○○番」という呼び方をする。
  (○の中は数字)

  日本人の感覚からすると、実にわかりにくい表示なのだが、たとえば、
  基準を「0」とすれば、
  「#4」は、それより「4つ小さい」、
  「#3/0」は、「3つ大きい」
と、考えればよい。

主な種類はこれ!
ジグヘッド ブラックバス用として、輸入されたワームを装着する
「オモリ付き」の鈎。
海釣りでも良く使われ、サイズ、デザイン共に、
バリエーションが増えている。

単純に、ワームを使うときに使う鈎と思うのが一番。
ワームフック これも、ブラックバス用として輸入されたが、どんな魚に使っても良い。
バリエーションも豊富で、ジグヘッドよりも、
根掛り回避性が高いものが多い。

形もいろいろあるが、大きく分けると、
「ストレートタイプ」「オフセットタイプ」「マスバリタイプ」
の3種類が、基本となる。

主に、オモリ(シンカー)と組み合わせて使われるが、
単品で使用する釣り方もある。
トリプルフック ルアーフックの代表的な鈎
文字通り、三本の鈎がくっついたもの。

トレブルフックとも言い、主に、ハードルアーに装着する。
(似たようなものに、「ダブルフック」と言うのもある。
掛かりは良いのだが、結構バレやすかったりするので注意が必要。)

ムーチングと呼ばれる活きエサを使った釣りで「孫鈎」としても使われる
シングルフック これも、ハードルアーに使われる時が多い鈎。
特に、トラウト用のルアーや、ソルトウォータールアーに良く使われる。
スプリットリングに装着する為、アイの直径が大きい。
現在、主に、2種類のフックが使われている。

シングルフックは、フック自体の自由度が比較的高く、
魚が掛かってしまえば、バレにくいのだが、
反面、ポイントが一箇所だけなので、トリプルフックよりも、
掛かる確率は落ちてしまう。

そこで、その確率をあげるために考えられたのが、 「天国鈎タイプ」。
アイにあたる部分を、強度、耐久性の高い糸で作り、
更にフックの自由度をあげ、掛かる確率を格段に上げた物である。
このタイプは、一本だけつけてもいいのだが、
2本セットで付けてやる場合も多い。
ほとんどの物が、海釣り用の鈎を利用して作られている。

最近、オフショアフィッシング(特にジギング)で使われる
「アシストフック」も、この一種。

欠点としては、いくら強いといっても、所詮糸で繋いでいるので、
歯のスルドイ魚がかかると切れる場合がある事と、
糸は潰れやすいため、使用している際、接続するリング
(スプリットリング)の隙間に入って、外れてしまう可能性がある。
という事があげられる。


【 参考 】 ルアーフックのかたち


  フライ用の鈎・・・
  西洋毛鉤をまくための鈎。
  これも洋物なので、サイズの表示は、ルアーと同じになる。
  鈎に直接「毛」や、人工的に作られた反射効率の高い繊維
  (フライフィッシングでは「マテリアル」と呼ぶ)を、
  小さい羽虫や、小魚などに似せて巻くため、形状、サイズの種類も豊富。
  その中から、作りたい物にあわせた鈎を選ぶ。
  ちなみに、日本の毛鉤釣り「テンカラ」の鈎は、また違うものを使う。


  その他の鈎・・・

   鮎用の鈎・・・
   国内の魚を釣る鈎の中で、たぶん、単一魚種を釣るためだけの鈎としては、
   一番種類があり、必要以上に良い素材が使われている物もあるため、
   かなり値段が高いものも出てくる。
   友釣り用、ドブ釣り用(毛鉤)、コロガシ(ガラガケ)用などがある。
   友釣り用は、「タタキ」のないものが多く、巻き方も、一般的な鈎とは違う。
   実際に、魚を釣る(掛ける)以外に、使用する鈎もある。
   鮎をやらない人には、たぶん理解できない使い道のものも多い。

   トローリング用の鈎・・・
   対象魚が、どうしてもでかくなるので、基本的にゴツイ。
   シングルフック、もしくは、ケンケン鈎と呼ばれるダブルフックが良く使われる。
   「カグラ(ヘッド)」「タコベイト」「羽根」などと組み合わせ
   「ルアー」(国内では「化毛(バケ)」と呼ばれる)を作る。
   中には、動物の角や木材、樹脂と組み合わせた「角」と呼ばれるものもある。

    【うんちく】

  鈎には、本当にたくさんの種類があり、大きく分けるのも難しいくらいです。
  一種類の魚を釣るにしても、釣り方ひとつで形が変ったりします。
  そのため、たまに勘違いされてしまう鈎があります。
  ここでは、それらの鈎をあえて『専用鈎』(仮称)とします。

  よく、魚の名前(たとえば、「カレイ専用鈎」「チヌ鈎」など)の付いた鈎がありま。
  しかし、これはけして「その魚しか釣れない」と言うわけでは無く
  「その魚を釣る為に、非常に向いている鈎」もしくは、 「その魚を釣り易いように作られた鈎」
  であって、別に他の魚に使っても良い。
  それ以前に、勝手に他の魚がかかったりする。

  この、魚名前の付いた鈎を使ったからといって、必ずその魚がつれるわけではない。
  あたり前のことだが 「魚は、エサ(ルアー)を喰うのであって、鈎を喰うのではない」のだ。
  もちろん、狙っている魚を釣る為にその鈎を使うのはあたりまえなのだが、
  使えそうであれば、ルアー用のフック(鈎)を使ってもいいのである。

  たとえば、ヒラメを釣る場合、チヌ鈎を使う人が多いですし、
  船でのカレイ釣の場合、一般的なカレイ鈎よりも、丸セイゴの方が使いやすかったりします。
  ルアー用の鈎で、もともとは餌釣り用の鈎だったものもあります。

  ちなみに、同じ形の物でも、色や、太さ、結ぶ方法が変っただけで、
  違う名前のついている鈎は結構ある。
  と、言うことは、それだけ、流用性があるということになります。

  それと共に、「どれがどれに」と、言うことではないのだが、
  どうしても他の釣りには向かない鈎も存在する。
  単純に、でかい魚を釣るのに、その魚に対して、
  細すぎる物や小さすぎる物は使えない>(もちろんその逆も)と言うだけだけど。


  と、うんちくはココまでにしておいて・・・

 実際に選ぶ場合ですが、初めのうちは、専用鈎を選ぶ方が、いいと思います。
 で、サイズは、そこの釣り場で、
 対象魚の平均的なサイズの口に入ればいいわけなのですが、
 わからない場合は、お店のスタッフに聞くのが一番です。

 そのあとで、気になる鈎や、使ってみたい鈎を試してみるのがよいでしょう。
 いろいろ試してみると結構おもしろいし、意外な発見があったりします。

 全国的によく使われる鈎って言うのもあります。
 たとえば・・・

    丸セイゴ(ケン付丸セイゴ)

    流線鈎(ケン付流線鈎)←メーカーによっては、流線袖型とも言う

    ハゼ鈎

    カレイ鈎

    チヌ鈎
          などです。

 サイズは違えど、これらは、ほぼ全国的に使われます。
 特に、丸セイゴと、流線鈎は、魚種を選ばず使われる代表的なもの。


 まあいろいろ能書き語っていますが、あまりにも種類が多すぎて、まとめきれません。
 鈎メーカーのカタログなども出ておりますので、手に入れることができれば、
 眺めて見るのも面白いと思います。すごいのがいろいろありますよ。

 結局の所、いろいろ使ってみて、気に入った物を使っていくのがベターです。



中野釣具店
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